主にショートギャグを書いています

ライ麦泥棒つかまえて

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※この作品は北斗の拳の二次創作です。
パロディなので原作漫画やアニメなどのイメージを大きく損なう恐れがあります。
北斗の拳の世界観が壊れるのが嫌な人はブラウザの戻るボタンを、
ヒャッハー、そんなの気にしないぜ、という人のみお読みください。


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「どうやらおれにはリュウという息子がいるらしい。いま一緒に住んでいる」
ラオウはそう言いながらも何か釈然としないことでもあるのか、しきりに首をかしげている。
ケンシロウが心なし顔を少しほころばせながら言った。
「あれは父親に似てよくできた子供だ。次の北斗神拳の後継者に指名しておいた」
さらにケンシロウは付け加えた。
「おれの周りで他に知っている子供がいなかったからな」

「その息子のことなのだが、・・・いったいあれの母親は誰なのだ?この中で知っている者はいないか?」
「ラオウ、その歳で”もうろく”したか?それとも誰かに記憶を失う秘孔でも突かれたのか?」
「そうかもしれぬ。実を言うと、DNA親子鑑定を受けようかと本気で悩んでいる所だ」
「もし仮にDNA鑑定で親子では無いとなったらどうするつもりだ?」
「もちろん裁判に訴えるつもりだが」
ケンシロウは首を振って言った。
「そんなことをしても誰も幸せにはなれないぞ」
「ケンシロウ、きさまにはわかるまい。リュウの頭をなでながら、一方でこれは本当の自分の息子だろうかと猜疑の目で見ている自分に気付く。そしてそのことを子供は敏感に感じ取ってしまう。リュウは、このおれに必死でしがみつき、また明日も遊んでくれとねだるのだ。明日もしかしたら、お前なぞおれの子供では無い、と言われ捨てられるかもしれないと思っているからだ。なんといじらしい姿ではないか。DNA鑑定でリュウとおれとの間に空いたこの隙間を埋め、本当の家族になりたいのだ」
「わかっていないのはラオウ、おまえだ。おれとユリアとの間にはとうとう子供はできなかった。しかし、家族とは何だ?
血がつながっている者同士ただ一緒に暮らしている、それが家族なのか?
そうではないはずだ。家族とは心のつながりだ。血はつながっていても親から虐待を受けている子供と、たとえ血はつながっていなくても、強い絆で結ばれている親子とでは、どちらが本当の家族と言えるのか?
ラオウは気付いていないかも知れないが、おまえとリュウとは傍目にも本当の親子のようにしか見えない。
ラオウはしばらく黙っていた。まるでケンシロウの言葉がラオウの体の隅々にまで染み渡っていくのを待っているかのようだった。そして心の中でもう一人の己と向き合い、息子を疑う自分と息子を愛する自分との間でどちらが正しいのか考えをめぐらせていた。
だから、ケンシロウがその後に続けて話した内容をラオウは全く聞いていなかった。
「まあ、見た目はまるで違うから疑うのも無理は無いが。しかし、おまえの子供の頃だってこんなに図体ばかりデカくはなかったはずだ。きっと頭に行くはずの栄養が全部体にいった結果なのだろうな」

ラオウは自分の中で気持ちの整理がついたのか、ようやく口を開いた。
「フッ、大事なのは血よりも心のつながりか。たしかにおまえの言うとおりかもしれん。おれとおまえの関係のように・・・」
「それでいい、ラオウ。だが、やはりリュウのためにも、リュウの母親がどのような人であったのかだけは思い出した方がいいだろう。ラオウ、彼女を思い出すために北斗神拳で秘孔をついてみてはどうだろうか?」
「それはすでに試したわ。しかしどうやってもわが妻、リュウの母親となる女の記憶は思い出せなかった」
「では、リュウ自身についてはどうだ?彼が幼い時の記憶であるとか」
「それも思い出せん」
「それならば、リュウに関する最も古い記憶はどのようなものなのだ?」

「リュウと初めて会ったときのことはよく覚えている。あの日、酷い空腹を覚え、昼過ぎぐらいに目が覚めた。おれは冷蔵庫の中に何か食い物があるだろうと台所に行った。すると、見たことも無い子供がテーブルの上でコーンフレークを食っていた。お前は誰だ、と問うと、その子供はリュウと名乗った。そして自分はラオウの息子であるから、父親であるこのラオウには自分の扶養義務がある、などと小難しいことをぬかしおった」
「それがリュウに関する最も古い記憶なのか?」
「そういわれると、その前にもあやつの姿を何度か近所で見かけたような気がするが・・・」
そこでラオウは何か古い記憶を探し当てたように突然目を見開いた。
「そうだ、あれは、隣の家で酷い親子喧嘩があったときだ。あまりにもやかましかったので何を言い合っていたのかまでよく覚えている。あんた、もう、ご飯食べたでしょ。でも、まだお腹空いているよ。隣のラオウみたいに体が大きくなりたいんだよ。でも家にはもう食べるものはないよ。お腹空いたあ。だから、ないんだって言っているでしょ。ラオウはお腹いっぱい食べてるからあんなに体が大っきいんだよ。ぼくも大っきくなりたい。だったらあんた隣の家の子になっちゃいなさい。わかったよ、そうするよ。・・・そのようなやりとりがあって直ぐだったな、台所に居るリュウを見つけたのは」

「・・・ラオウ、話を聞いていて思ったのだが、それならリュウに聞けば手っ取り早いのでは無いか?」
「一度それとなく探りをいれたのだが、ママのこと忘れちゃったの、とか、ママはいつもパパのこと愛していると言っていたのに、などと小犬のような目をされて言われると、それ以上聞きづらくてな」
「・・・それでいいのではないか?」
「なんだと?どういう意味だ!?ケンシロウ」
「真実を知ったからといって人が幸せになれるとは限らない。いまリュウと親子として幸せならば、それでいいのではないのか?」
「・・・おまえの言うことは理解出来る。だが、しかし、頭ではそのように考えていても、どうしても釈然としないものが残るのも確かなのだ」
「ならばこのように考えてはどうか。リュウの目はユリアに似ている。まるで、母親と子供のように。ならばラオウ、お前が愛するユリアと、このおれの子供だと思って大切に育てていけばいい」
「・・・ケンシロウ、それでは全くの赤の他人になってしまう」

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