主にショートギャグを書いています

ライ麦泥棒つかまえて

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※この作品は北斗の拳の二次創作です。
パロディなので原作漫画やアニメなどのイメージを大きく損なう恐れがあります。
北斗の拳の世界観が壊れるのが嫌な人はブラウザの戻るボタンを、
ヒャッハー、そんなの気にしないぜ、という人のみお読みください。


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それまで咳もせず黙って二人の会話を聞いていたトキがコホン、と軽く咳払いをすると口を開いた。
「ラオウよ、わたしならリュウの母親となった女性を知っている」
「なに、それは本当か!?」
ラオウは身を乗り出して聞き返した。
「フッ、サウザーの体の謎を真っ先に解いたわたしだ、もちろん知っている」
「ならば、今すぐこのラオウに教えよ!!」
ラオウは興奮していまにもトキにつかみかかるか勢いだった。
「もちろんだ。兄さんの役に立てるなら、こんなうれしいことはない」
「うんうん、トキよ、わが弟よ、それでいったい誰なのだ?」
「ああ、やっぱり今日はどうも体の調子がよくない。早く済ませて家に帰って休みたいんだが・・・」
「それなら弟よ、この兄が順番を代わってやろう。弟の体を気遣うのは兄として当然のことだ」
「代わるも何も兄さんの順番はわたしの後なんだが・・・」
「何だ、うれしくないのか?このラオウが順番を代わってやると言っているのだぞ」
「い、いや、うれしいよ、兄さん。だけど、そのまえにケンシロウが順番待ちをしている」
「そうか、わかった」
ラオウが「いいな、トキと順番を代わっても」の「いいな」と言いかけたところで、ケンシロウは素早く「ダメだ」と答えた。
「まだ何も言っていない。だから、いい・・・」
「いや、ダメだ」
「・・・ケンシロウ、いまのトキとの話をお前も聞いていただろう。トキは体調が良くない。だからここはトキに順番をゆずってくれぬか?」
「ラオウがトキに順番を譲るのは勝手だが、どうしておれが譲る必要があるのだ?」
「何をわかりきったことを。このラオウが、いいか、このラオウが頭を下げているのだぞ!」
トキがゴホゴホと咳き込みながら言った。
「兄さん、どうも体の調子がどんどん悪くなってきている。早くなんとかしてくれないだろうか」
「弟よ、待っていろ。この兄がケンシロウなど腕ずくで言うことを聞かせてやる」
「兄さん、何ならわたしも手を貸そう。たとえケンシロウといえども我々二人がかりならすぐにけりがつくだろう」
「くれぐれも無理をするなよ」

仁王立ちとなったラオウが、ソファーに腰掛けているケンシロウをすぐ目の前で見下ろしていた。そしてトキはケンシロウの背後を取るために、彼を警戒しながらゆっくりと回り込んでいた。二人はケンシロウを前後から挟み撃ちにするつもりだった。二人は例え言葉を交わさずとも、まるで一つの生き物のように互いの意思が手に取るように理解出来た。それはケンシロウが共通の敵となったからでも、血を分けた実の兄弟だからでもなく、かつて強敵として闘った過去がそうさせていた。

ケンシロウはソファーに深々と腰を下ろしたまま、二メートルを優に超えるラオウの巨体を見据え、落ち着き払った口調で背後に回り込んでいるトキに向かって言った。
「面識はないはずなのに、なぜお前はリュウのことを知っている?」
「そ、それは・・・ラオウの妻を名乗る女性を、リュウの母親を知っているからだ」
「ならばここでそれを言ってみろ。リュウの母親はいったい誰だと言うのだ?」
「ふんっ、その手には乗らないぞ、ケンシロウ。ここでその名を口にすればラオウは手を引くかもしれない。そうなれば病身のわたしになら勝てると見込んでのことだろう」
「トキよ、そう答えると思っていた。なぜなら、お前は本当は知らないのだろう。だが、ラオウよ、このおれならば知っている。かつて、リュウと行動を共にし、リュウ自身から彼の母親のことを聞かされたからだ」

驚いたラオウはケンシロウに聞き返した。
「な、なんだと、ケンシロウ!きさまは、我が息子の母親を知っているというのか!」
この会話を聞いてトキはうろたえた。
「う、嘘をつくな、ケンシロウ。その話が本当だと言うのならば、おまえこそここでその女性の名を言うべきだ」
「いいだろう。その女性、実はおれたち全員会ったことがあるのだ」
「な、なに!?」
「あれは、おれ達北斗四兄弟と、ユリアが声を掛けた南斗の女たちと合コンしたときのことだ。その時ラオウは一人の女と意気投合した。そして二次会のあと、二人は夜の街へと消えていった」
「・・・そんなことあったか?全く記憶に無いのだが」
「よく、思い出してみろ、ラオウ」
「・・・そう言われてみるとそんな気がしてきた」
「そうだ。そして、やがて女は自分が妊娠していることに気付いた。ラオウとその女は一度きりの関係のはずだった。しかし、女は自分がラオウを愛してしまったことに気がつく。だが、最強を目指す男にとって、自分やお腹の子供は修行の妨げにしかならない。女は悩んだ。だが、愛する男のため、子供を身ごもった事を誰にも告げず、一人静にこの街を去って行った。そしてここから遠く離れた場所でリュウを生むと、女手一つでその子を育て上げた」

「・・・・・・・・・」
ラオウは黙ってケンシロウの話を聞いていた。そのラオウの目からは涙があふれていた。
「・・・あの頃のおれは頂天を目指すことしか頭に無かった。だが、このラオウ、いまさら詫びるつもりはない。そのかわり、リュウを、我が息子を立派に育ててみせよう!」
そこでトキが口を挟んだ。
「ちょっと待て、ラオウ。修行しか頭に無い男がどうして合コンに出席するのだ?」
しかし、トキの話が聞こえていなかったのか、ラオウはそのまま話を続けた。

「・・・このラオウ一生の不覚であった。おのれが強くなることしか頭になく、影で泣いている母と子があることに気がつかなかった。しかし、決してあのときのことを忘れていたわけでは無いぞ。こうして目を閉じれば女の美しい姿が目に浮かぶ。そうだ、たとえ厳しい修行の日々だろうと、闘いに明け暮れた修羅の道だろうと、おれは孤独を感じたことはなかった。あの女がおれの心の中に常に在り続けたからだ!」
「・・・あの時はユリアが集めた女がブスばかりだったので、ラオウはジャギと二人でやけくそになって、記憶がなくなるまで酒を飲みまくっていたが。おまけにケンシロウはユリアといちゃつきまくっていたし、残された女の子が気を悪くしないようにと場を盛り上げるの苦労したものだ」
しかし、トキの苦労話には二人とも関心がなかった。

「それで女の名は何というのだ?」
「その女の名は・・・」
ここで、ケンシロウはもったいつけるように間を置いた。そして素早く店内を見回すと、この店に所属している女の娘の写真とプロフィールが壁に貼ってあった。
「その女の名は・・・」
「・・・その女の名は?」
ラオウもついついケンシロウにつられて繰り返す。
「いちごちゃん、いや、違う。アケミという」
「そうか、アケミというのか」
またしても、トキが口を挟んだ。
「アケミもそうだが、間違えて最初に口にしたいちごちゃんってまるで風俗嬢みたいな名前に聞こえる。というか、二つともどこかで聞いたことがるような・・・」
しかし、トキの話はまたしても二人から無視された。

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