主にショートギャグを書いています

ライ麦泥棒つかまえて

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※この作品は北斗の拳の二次創作です。
パロディなので原作漫画やアニメなどのイメージを大きく損なう恐れがあります。
北斗の拳の世界観が壊れるのが嫌な人はブラウザの戻るボタンを、
ヒャッハー、そんなの気にしないぜ、という人のみお読みください。


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トキは静に口を開いた。
「ユリアを愛していたのは二人だけでは無い・・・」
「トキ、お前もか・・・」ラオウが言った。
「見守るだけの愛もあるということだ」
「トキよ。それでお前は、我が身を犠牲にしてユリアとケンシロウを救ったと言うのか」
「そうだ。しかし、そのため重い病で倒れてしまった。北斗神拳を持ってしても死の病は治せない。そして体力が回復するまでにも長い時間が必要だった。なのに病床のわたしをユリアは一度も見舞いに来てくれなかった。ちなみに、ケンシロウは看病のためによく訪れに来てくれた」
「おれもちょくちょく様子を見に行ってたぞ」
確かにラオウは頻繁に来てくれたが、毎回毎回手ぶらで来ては村人たちがトキのために集めてくれた食材を持って帰っていた。トキはそのうちに、看病は口実で本当は家にある食べ物が目当てなのではないかと、ラオウのことを疑いの目で見ていた。

「ケンシロウ、看病に来てくれたことは感謝している。しかし、あの時自分の背中にある秘孔に手が届かないと言うと、腕の関節が外れ無理矢理腕が伸びる秘孔など突かずに、せっかくお前がいるのだから、お前がわたしの背中の秘孔を突いてくれればよかったのだ。」
「腕が長ければベッドから出ずにいろいろできて便利ではないか」
「コタツから一切出ないでテレビをつけたり、リモコンで何もかも出来たのは核戦争前の話だ。本音を言うとユリアに看病してもらいたかった。どうしてユリアを誘って来なかったのだ?いや、目の前でいちゃいちゃされると北斗有情拳ならぬ北斗無情拳が炸裂しそうなので、ケンシロウの代わりにユリアが一人で来てくれるのがうれしい」
「うむ、それはうらやましいぞ。トキよ、そうなったらこのもちろんこのラオウに代わるのだぞ」
「あんたどこも悪くないでしょうに!」

「・・・言っておくが、二人ともユリアのことを誤解している。ユリアがラオウにさらわれたとき、なぜすぐに助けに来なかったのかと、あの後正座させられて一晩中説教されたことを知らないだろう。ユリアがシンにさらわれた時などはユリアのいない開放感が嬉しかった。だから、シンの手下の雑魚キャラからわざわざ倒していって時間稼ぎをしていたくらいだ。シンからユリアを引き渡された南斗五車星たちも、これであの気の強いユリアが戻ってくるのかと落胆していたと聞く。別れようとすると彼女から命じられた南斗五車星や実兄のリュウガが、入れ替わり立ち替わり説得のためにやって来る。彼女からおれはもう逃げられないが、悪いことは言わん二人とももう諦めろ」
「・・・そうだな、ずっとこのまま遠くから見守り続けるだけにしよう」とトキは言った。

トキは、あのまま突っ走って告白などしていなくて良かったと内心ホッと息をついた。ラオウはがさつだし、ケンシロウは鈍感だし、それに対して自分は細やかで優しい性格をしている。さらに、図体がでかいだけのラオウや眉毛の濃いケンシロウと違って三人の中で最もルックスも良い。その上、北斗神拳だって力でごり押しの二人と違って技も華麗だ。三人の中で最もモテる自分のことだ、ユリアだってきっとうなずいてくれていただろう。本当に危ないところだった、とトキは胸をなで下ろしていた。

内心そのように考えていることを気取られないようにしながら、二人に向けて言った。
「わたしに残された時間はそう長くないだろう。それでもケンシロウにはユリアがいて、ラオウには息子がいる。一人寂しく童貞のまま消えゆくわたしを、哀れに思うなら先に行かせて欲しい。ゴホッ、ゴホッ」

「さっき、リン目当てに週一で通っていると言っていたが・・・」
ケンシロウが答えている途中で、トキは酷く咳き込んだ。
「ゴホッ、ゴホッ、すまん、咳が酷くて聞き取れなかった」
トキが咳き込んだ時に、口許を手で押さえながら視線を逸らしたことをケンシロウは見逃していなかった。

「だから、週一でこの店に通い詰めていると、さっき・・・」
「ゴホッ、ゴホッ、ゲホゲホ、すまん、咳がとまらない。もうわたしはこのままここで死ぬかも知れない。もし自分の順番を待たずに死んだとしたら、死んでも死にきれない」

「そんなに酷いのなら、それこそ体が持たないだろう。ここは諦めて素直に病院に行った方が良い」
「ゲホゲホゲホゲホッ、咳のせいでお前の声が何も聞き取れなかった。・・・もうわたしはダメかも知れない。でもそうなったらこの世に未練が残る。きっと化けて出るだろう」

「トキ、だから病院に行けと・・・」
「ゴホッ、ゴホッ、ゲホゲホ」
酷い咳をしながらケンシロウの視線を外し、そして咳が止むと同時にケンシロウのことを上目使いにチラリと見る。
「トキ、だから・・・」
そしてケンシロウが何か言いかけると、明後日の方向を向いて、咳で発言を遮る。二三度咳き込んだ後、咳が一時的に止むとチラリとこちらを見る。
あまりに白々しいトキの演技に、ケンシロウはあきれて何も言えなくなった。

「あの、お客さん、次が誰でもいいから、早く決めてもらえないかしら?」いい加減にしびれを切らせたリンが言った。
ラオウが答えて言った。
「今、男同士の命をかけた話し合いの最中だ。女、子供は黙っていろ。もめている時間はトキかケンシロウの持ち時間から削っておけ」
ラオウの言葉を聞いたトキとケンシロウが何かを言いかけたが、その前にリンが「それなら話がついたら店の誰かに声かけてね。わたし、待機室で休んでいるから」というなり、さっさと行ってしまった。

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