主にショートギャグを書いています

ライ麦泥棒つかまえて

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登場人物

田崎真一 (24)大手飲料メーカーダイワドリンク横浜支社勤務。営業部所属入社2年目
富岡浩介 (25)営業部の同僚。田崎の隣のデスク。田崎とは同期
高見葉子 (32)営業部の先輩
水希知佳 (26)営業部の同僚
鶴見弘幸 (38)営業部係長
恩田達良 (47)営業部課長

●田崎の部屋(朝)

 田崎がベッドの上でスーツを着たまま寝ている。目覚まし時計が7時を指してけたたましく鳴る。腕だけを動かし一旦止めるが、すぐに再び目覚ましが鳴る。

田崎「うるさい」

 もう一度目覚ましを止めると1拍置いてゆっくりと上体を起こす。まぶしそうに目を開けるとあくびをする。

田崎「ふあー」

●電車の中(朝)

 通勤ラッシュで電車の中は身動きできないほどに混んでいる。田崎がつり革に捕まり立っている。目の前の座席には若いO Lが座り本を読んでいる。

車内アナウンス「次は西川崎、西川崎に止まります。次の停車駅では左側のドアが開きます」

 田崎が上着のポケットからスマートフォンを取り出しゲームを始めようとする。携帯の画面越しに向の座席に座っているOLが本を持ったまま、先ほどのポケットの辺りを凝視している。田崎が女性の視線をたどっていくと、ポケットから白い紐状のものが飛び出ている。引っ張り上げるとブラジャーだった。ブラジャーを持ったままOLと目が合う。

田崎「こ、これ彼女のだから。本当に彼女のだから」

 しどろもどろになって言い訳をすると、人を掻き分けてドアに向かう。電車が駅に到着する。

車内アナウンス「西川崎、西川崎」

 ドアが開いてどっと人が降りる。田崎も他の乗客に押されるように降車する。発車ベルが鳴り、ホームを歩いていると先ほどの電車が発車する。すると、向きを変え誰も並んでいない乗車口最前列に並ぶ。

●営業部(朝)

 田崎が営業部と書かれたドアを勢いよく開け、自分の机に真っ直ぐに向かうとどかっと腰掛ける。そのまま机に上体を突っ伏してぐったりとしている。

富岡「なんだあ、水希ちゃんがいなくなってそんなにショックだったのか?」

田崎「電車の中でポケットからブラジャーが出てきてさ」

 富岡が回転式の椅子の向きを田崎の方へと向け前のめりになる。

富岡「お、ということは昨日誰かとよろしくやったということか。言えよ、いったい誰とだよ?」

 田崎は体を起こして富岡の方を向く。

田崎「それが全く覚えがないんだ。昨日の歓送迎会でいったい何があったか知らないか?」

富岡「そりゃそうだろ。まだ一次会なのにべろんべろんに酔っ払ってたからな。まあ、気持ちはわかるけどな。水希ちゃん、三沢さんが転勤になって新しく入ったのが野郎ばっかじゃな」

田崎「別にそんなんじゃないって。それにあれは地雷だ。係長と出来てるって噂があったの知らなかったのか?」

富岡「え、係長って結婚してるだろ?」

田崎「そんなことより、今はブラジャーだ」

富岡「ブラジャーって女装してAKB歌ってたときのじゃないのか?誰かに貸してもらって返し忘れたとか」

田崎「宴会芸やるからブラジャー貸してくださいって言って誰がOKするかよ。その後は何かなかったか?」

 始業のチャイムが鳴る

富岡「二次会は坂田達とボーリングに行ったから後のことはわからないな。お前は係長達と一緒にいたからカラオケ組だろ。係長は今いないから、そうだな、高見さんにでも聞いてみたらどうだ?」

田崎「高見さんか。あとで聞いてみる」

●食堂

 券売機と食事の受け取り口には数名が並んでいるが、割合空いている。テーブルには田崎と高見が向かい合わせに座っている。高見は怒っているように見える。

高見「で、何よ、話って」

 おずおずと高見に尋ねてみる

田崎「昨日の二次会で何かありませんでしたか?」

高見「何かって何よ」

田崎「それがその、一次会で飲み過ぎちゃったらしくて、全然覚えてないんですよ」

高見「何よ、それ。昨日のこと謝りに来たんじゃないの?」

田崎「え、何があったんですか?」

高見「何があったんですかじゃないわよ。カラオケボックスの中で私や水希ちゃんに抱きついたり大変だったんだから。水希ちゃんの膝枕、とか言って頭をどかそうとするとしがみついて離れないし。見かねた係長が引き離そうとすると暴れるし。係長も最後は頭にきたらしくて、あんた胸ぐら捕まれてたわね。もう二度と一緒には飲みたくないわ。懇親会とか忘年会とか、お酒の席は二度と来ないでちょうだい」

田崎「そ、それは申し訳ありませんでした」

 座ったまま高見に向かって深く頭を下げる。

高見「あんた、本当に反省してるの?何をしたか覚えてないんでしょ?」

田崎「そこで質問なんですけど、こう、無理矢理なんというか、犯罪になるようなことを私はやりませんでしたか?」

高見「そうよ、あれは犯罪よ」

田崎「いえ、そうじゃなくて、例えば、例えばですけど、誰かの下着をはぎ取るとか」

高見「あんた、水希ちゃんにそんなことしたの?」

田崎「滅相もない!例えばの話ですよ」

 田崎を疑いの目で見る高見

高見「例えばの話ねえ。ふーん」

田崎「そ、それで、二次会の後はどうなったんですか?」

高見「係長があなたに説教しようとしたら、カラオケボックスじゃなくてちゃんとした店に連れて行くなら話を聞いてやってもいいって駄々こねて、みんなあなたのせいで白けちゃったし、そこでお開きになったわ」

田崎「それじゃあ、その後は?」

高見「そんなの知らないわよ。恩田課長か鶴見係長に聞くのね。本当なら水希ちゃんに向かって土下座してもらいたいところだけど、しかたがないわね。ねえ、もういいかしら。お腹空いてるんだけど」

 持参したお弁当箱の蓋を開ける高見

田崎「ありがとうございました。それに昨日は本当に済みませんでした」

 一旦立ち上がり深く頭を下げる。そして席に座って田崎も焼き魚定食を食べようとハシを持つ。

高見「ねえ、ここで食べるの?」

 高見が迷惑そうに言う。

田崎「はい…向こうの方で食べます」

 すごすごと定食の乗ったトレーを持って離れた席の方へ移動する

●営業部室(夕)

田崎「はい、ダイワドリンク営業部の田崎です。…はい、いつもお世話になっています。はい、はい」

 自分のデスクで電話を掛けながら、課長と係長のデスクを見るが、2人とも不在だった。壁掛け時計を見ると17時を過ぎている。そこへ、課長と係長が2人一緒に戻ってくる。意を決してデスク戻った係長の所へ歩いて行く。

●営業部室内、係長デスク前(夕)

 鶴見係長が手提げ鞄から書類を出して机の上に置いている。机の前に立つ田崎。おずおずと切り出す。

田崎「昨日はいろいろご迷惑をおかけしたようで申し訳ありませんでした」

 直立不動で深く頭を下げる田崎。

鶴見「お前、本当にわかってるのか?」

田崎「いえ、それが昨日の記憶がすっかり抜け落ちてまして…」

鶴見「酒のせいにすれば何でも許されるわけではないからな。お前、そのうち警察のやっかいになるか、セクハラで訴えられることになるぞ」

田崎「はい、二次会でご迷惑をかけた高見さんにも厳重注意されました」

鶴見「どうすればいいか分かってるな?」

田崎「はい、酒の席でも二度と酒は飲みません」

鶴見「いいか、忘れるなよ」

田崎「はい。あの、それで二次会のあと私はどうなったのでしょう?」

鶴見「お前がカラオケボックスじゃ嫌だというんで店を変えようと言うことになって、課長が選んだ店に俺と課長とお前とで移った」

田崎「それはどんなお店ですか?」

鶴見「筋肉だるまとか言うオカマバーだ」

田崎「そこで何かありませんでしたか?」

鶴見「何かってお前店に着くなり寝てたじゃないか」

田崎「その後は?」

鶴見「課長がタクシーでお前を家まで送っていくっていってたぞ」

田崎「そうですか。それならこれはいったい誰のだろう。朝上着のポケットの中に入っていたんですけど」

 ブラジャーをポケットから取り出す。

 そこに課長が通りかかる。

恩田課長「あ、これ僕の」

田崎「ああ、そうだったんですか。・・・え?

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