主にショートギャグを書いています

ライ麦泥棒つかまえて

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三郎太というのは5歳になるコウちゃんの飼っていた子供のワニです。一人っ子で友達が少ない息子のために父親がペットショップで買ってきました。子供のペットにワニというのはふさわしくないと思うかもしれませんが、体が弱くて外にあまり出られないコウちゃんが、ワニのように強くなるようにと願って選びました。コウちゃんも小さな怪獣のようなワニを格好いいと思ってかわいがりました。

しかし、ママに見付かって大反対されました。ワニが小さいうちはいいけど成長して体が大きくなったら飼えません。それに人に噛みついて危険です。今すぐ捨ててきなさいと言って、コウちゃんに家のすぐ近くの小川に三郎太を捨てさせました。

三郎太は狭い檻の中から出られて、最初は喜んでいました。だけどそのうちに、あんなにかわいがってくれたコウちゃんもパパさんもいないことに気がつくと、段々心細くなりました。ワニは大人になって大きくなると、あの鋭い牙と力強い大きな顎とでなんでも食べてしまいます。しかし、体の小さな子供のうちは他の生き物の餌になってしまうのです。

例えば今三郎太をつかまえて食べようとしている野良猫がそうです。人間にとっては猫は小さくてかわいらしい動物ですが、小さな子供のワニにとっては、自分をねらっている大きな恐ろしい怪物です。三郎太は必死ににげました。小さな手足をばたつかせて素早く走ります。しっぽの所に猫の湿った温かい息を感じます。もうだめだ、と思ったとき目の前に小川が見えました。三郎多は何も考えずに小川に飛び込みました。そしてそのまま流されていきます。

後ろを振り返るとさっきの猫が見えました。ねこは泳げないので水に入ることはできませんが、どうしても獲物を諦めることができずに、その場をうろうろしています。

かなり流されたので泳いで岸に上がろうと思ったところ、横を自分よりももっと小さな魚が泳いでいきました。三郎太はさっきからひとりぼっちで心細かったのですが、自分は一人きりでないとわかって安心しました。そこでお魚さんに声を掛けてみました。

「こんにちは」

「こんにちは」

お魚さんは答えました。

「僕は三郎太って言うんだ。僕と友達になってくれないかな?」

「僕はスイミー。君って変わった姿をしているね」

魚でないことがわかると友達になってもらえないと思ったので、

「しらないの?大人になると手足が生えるんだよ」と、嘘をつきました。

「そうかな。手足のある魚なんて見たことないけど」と言われたので、

「おたまじゃくしがそうでしょ」といって適当に誤魔化しました。

お魚さんが「じゃあ、僕の兄弟たちを紹介して上げる」というのでついていくと、そこには彼の兄弟たちが群れになって泳いでいました。ところが、三郎太はだんだんお腹がすいてきて我慢ができなくなりました。三郎太がコウちゃんのお家で飼われているときは、実は小さなお魚さんを餌にしていました。その時のことを思い出すと、三郎谷はスイミーたちがごちそうのように思えてきます。

とうとう我慢ができなくなって「あれだけたくさんいるのだから、一匹ぐらい食べてもわからないや」と都合良く考えて、群れの一番後ろを泳いでいた一匹を食べてしまいました。

そうして群れにくっついて泳いでいると、スイミーがやってきて、「ねえ、さっきからジミイーが見えないんだけど、君しらない?」と聞いてきました。三郎太はドキッとして、「用事が出来たって言って、どっかに泳いでいったよ。そのうち戻ってくるんじゃないかな」と言いました。スイミーは「しょうが無い奴だ。集団行動はルールにしたがってくれないと」とぶつぶつ言いながら行ってしまいました。

そのうち、またお腹がすいてきたので一番後ろを泳いでいるお魚を食べました。それでもお腹はいっぱいになりません。そのうちどんどん大胆になって「まだまだ食べても気付かれないだろう」とさらにもう一匹食べることにしました。

そしてまた、スイミーがやってきました。「ねえ、ルーシーとコージーが見えないんだけど、君知らないかい」と聞いてきたした。「いや、知らないよ」と三郎太はとぼけます。しかし、スイミーはじっと三郎太を見ています。三郎太はなんとなく目をそらしました。

「君の口に挟まってるの、それ魚の尾びれだよね」


とうとうバレました。その瞬間、スイミーや他の魚たちはものすごい早さで逃げていきました。三郎太は必死で追いかけました。一人になるのが怖かったからです。しかし、追いつけません。追いつけないどころか、どんどん離されていきます。気付かずに川の流れの速いところにはまってしまったのです。三郎太はそのまま下流の方へ流されていきました。三郎太はまた一人になってしまいました。

なんとか岸に泳ぎ着いたのは川の河口でした。あと少しで海に流されるところでした。三郎太はそのまま川岸を歩いてコウちゃんのところまで戻ることにしました。途中で、カラスに襲われたり、人間に捕まりそうになったり、コウちゃんのところに戻るまでに何年もかかりました。そして、その頃には大人の立派なワニに成長していました。いまでは猫もカラスも怖くありません。

こうしてコウちゃんの家に戻り、玄関のチャイムを鳴らします。

「コウちゃん、僕やっと戻ったよ!」

わに

コウちゃんの家に到着して、三郎太は
5分で保健所の人に連れて行かれました。
おしまい。

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