主にショートギャグを書いています

ライ麦泥棒つかまえて

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※この作品は北斗の拳の二次創作です。
パロディなので原作漫画やアニメなどのイメージを大きく損なう恐れがあります。
北斗の拳の世界観が壊れるのが嫌な人はブラウザの戻るボタンを、
ヒャッハー、そんなの気にしないぜ、という人のみお読みください。


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この風俗店(違法ではない)の待合室にいる男達はバニーガール姿の女性に導かれ、それぞれ個室へと入っていった。ここで順番を待つ男達の中に、大きな体をしたひときわ目立つ男がいた。その男とは一子相伝で連綿と伝えられる暗殺拳、北斗神拳歴代最強の使い手と言われるラオウであった。彼は握りしめた拳を開くと、自らの掌を眺めた。手にはうっすらと汗をかいていた。

「これはいったい、なんとしたことか!知り合いに会わぬように隣町の店を選んだというのに、気がついたらケンシロウ、トキ、ジャギ、レイ、待合室が全員知り合いばかりではないか!?」

もちろん、全員が全員顔見知りであることはすでに気付いていた。しかし、人生で最も見られたくない恥ずかしい所をお互いに見られてしまうことになり、双方無かったことにしたいという気持ちが働いた。彼らは互いに声も掛けず、視線も合わさぬようにしたまま気まずい時間をすごしていた。それぞれが競馬新聞を読んだり、スマートフォンをいじっていたりはするが、こんなところで知り合いに出会ってしまったという動揺から、表には出さないが誰もが心ここにあらずという状態だった。誰もが早く時間が過ぎ去って欲しいと願い、この場には重々しい空気が漂っていた。

「だ、だめだ。この緊張に自分の順番が来るまでなどとても耐えられん。そうだ、ジャギ、おまえなんとかしろ」

そう思い、ラオウは弟弟子にあたるパシリのジャギに目配せをした。ジャギは目を合わすどころか、全力でラオウの存在そのものに気がつかない振りをすることに決め、適当に口笛を吹きながらそっぽを向いた。後で文句を言ってこようものなら、この風俗店にいたことを自ら認めたことになる。だから、この件についてラオウは何も言えまい。それならここは無視したほうが得策。そういった計算が働いていた。

「ぬう、ジャギのくせにこのラオウを無視すると言うのか」

ラオウは立ち上がると無言でジャギが座っているソファーの真横にどっかりと座り、脚を組んだ。そして凝った肩をほぐすように肘を回した。肘はジャギの側頭部や肩に当たった。もちろんあえて当てている。ジャギはラオウから発せられる闘気のプレッシャーでたちまちだらだらと脂汗をかきだした。ジャギは昔ケンシロウを怒らせて秘孔を突かれ、その時の頭部の傷を隠すために特性のヘルメットを被っていた。そのため、ヘルメットの中でかいた汗は蒸発できず、そのまま下へ下へと垂れていき、やがて頭部とメットの隙間から滝のように流れ落ちた。ジャギはここでラオウの言うことを聞かないと明日怒られるという前に、きっとこの場でラオウに殺されるに違いないと、覚悟した。やけくそになったジャギは言った。

「クックックッ。お前ら俺の名前を言ってみろ」

そう言って素肌に纏った皮のジャケットをはだけて胸にある七つの傷を見せた。この傷は闘いの中でついたものではない。以前、ケンシロウになりすます目的で自分でつけたものだ。

「そうだ、俺の名はケンシロウだ。いいか、ジャギじゃ無いぞ」

ジャギは昔、ケンシロウをいじめて反撃に遭い酷い目に遭ったが、ラオウを前にしてそのことをすっかり忘れていた。ジャギにとって弟弟子のケンシロウよりもやはり兄弟子のラオウの方が怖かった。それに不満があっても限界まで表に出さないケンシロウよりも、怒りっぽくてすぐに手が出るラオウをまずなんとかするべきだと考えた。

兄弟弟子の中で一番弱いくせに、ケンシロウに要らぬちょっかいを出して手ひどくやられるジャギのことを、ラオウは前々から馬鹿だと思っていた。それゆえ、昼飯に焼きそばパンを買って来させたり、お花見の前の晩から席取りをさせたりと、使い走りとしては重宝してもいた。だが、本人を目の前にして騙るという、そこまでの馬鹿だとはさすがに思ってもみなかった。

「私はアミバ。決してトキではない」

いきなりトキが口を開いた。以前、トキの評判を落とすためにトキの名を騙り、人を捕らえて来ては無理矢理秘孔の実験を繰り返していたアミバの名を、今度はトキが騙った。アミバは細かいことは気にしない性格だったので、「ん!?間違ったかな」と言っては間違った秘孔をついたことをすぐに忘れてしまい、秘孔実験は同じ失敗ばかり繰り返していた。しかし、その忘れっぽい性格はアミバ自身を自分は天才だと思い込ませていた。

しかし、トキの言葉を聞いて、「よし、この流れに乗ろう」とラオウは思った。

「おれの名はカイオウ。おれが死んでから北斗の拳を読んでいない読者のために説明すると、北斗琉拳という北斗神拳から別かれて発展した拳法を使う。北斗神拳を修めたこのラオウ、トキ、ジャギ、ケンシロウのことを北斗4兄弟というが、おれとトキ以外血のつながりはない。それに対して、学んだ拳法こそ違うがカイオウはおれの実兄に当たる」

それまで黙っていたレイが口を開いた。
「俺の名は南斗五車星、風のヒューイだ。決してレイではない」

それを聞いてラオウは、「ん、誰だ?」と思った。なんか昔戦ったような気もしたが、愛馬である黒王号に乗ったまま戦うような雑魚敵ははなから覚えていなかった。

ケンシロウはジャギを指さしていった。
「おい、お前。そんなケンシロウがいるか。それにあいつはこんないかがわしい店に来るような男では無い。ちなみに俺の名はジャギだ」
今度はジャギに名を騙られたケンシロウがジャギを騙りだした。しかも、本人の前で。
「お前こそ何を言っている。俺はケンシロウでお前もケンシロウだ」

ジャギよ、お前は何を言っている。
横で二人のやりとりを聞いていて、ラオウはジャギのことをやっぱり馬鹿だなと思った。

「いいだろう、ケンシロウ。どちらが本当のケンシロウか、この場で決めてやる。いいか、勝った方が本当のケンシロウだ。兄より優れた弟などいないってことを、このジャギ様が教えてやる!」
そういってジャギは隠し持っていた針をこっそりと取り出す。以前にもケンシロウに対して使ったが、口に含んだ針を不意打ちで、相手の目などの急所に向けて飛ばすつもりだ。針を見付からないように口に咥え、密かに含み針の用意を済ますとジャギは立ち上がって言った。

「さあ、ははっへほいへんしろう」
ところが含み針のせいで上手くしゃべれない。
「何を言っているのかわからん」
ケンシロウが聞き返す
「ははら、ははっへほいへんしろう」
「ジャギよ、きさま酔っているのか?それとも脱法ドラッグにでも手を出したのか?ろれつが回っていないぞ」
「だから、かかってこいっていってんだよ!!何度も言わすんじゃねー」

ジャギはとうとう我慢できずに大声をあげた。しかし、その拍子に含み針を飲み込んでしまった。
「あっ、しまった!針飲んじゃった!秘孔のどちんこ」
そう言ってジャギは喉の奥に指を突っ込む。
「おい、よくわからんが吐くのなら外で吐け」
そういって、前屈みになったジャギの尻を蹴っ飛ばす。

「ウゲェ~。むう、この非情さ、昔のケンシロウではないな。あ、それより救急車、救急車」
ジャギは携帯電話で救急車を呼び出しながら、外へと出て行った。
(続く かも?)

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